星々の舟

星々の舟

村山 由佳

出版社:文藝春秋 出版年月日:2006/01/11

文藝春秋 | 2006/01/11

4.25
本棚登録:6人

みんなの感想

感想

直木賞受賞作ということで手に取ったのですが、こんなに心に残る本に出会えるとは思いませんでした。 家族という存在を見つめるこの短篇連作は、どの話も人間関係の複雑さと切なさに満ちています。禁断の感情、すれ違う想い、自分の居場所を求める悶悶とした心情——これらが丁寧に描かれていて、読みながら何度も立ち止まってしまいました。教室で毎日生徒たちと接していると、家族の形もそれぞれなんだと改めて感じます。この本もまた、「正解」のない家族のあり方を静かに肯定している気がして、その優しさが素晴らしい。 各短篇が独立しながらも家族というテーマで深く繋がっていく構成も見事です。読んでいて「星座」というタイトルの意味がじわじわと理解できる瞬間がある。父の戦争の傷痕という歴史的背景もあれば、現代の人間関係の悩みもあり、時間や世代を超えて「家族」について問い直させてくれます。 40を超えた今だからこそ、この作品の深さが響くのかもしれません。ぜひ多くの人に読んでほしい一冊です。

感想

直木賞受賞作とのことで、期待して読み始めました。家族の複雑な感情を描いた短篇連作とのことでしたが、正直なところ、私にはやや難しく感じられてしまいました。 各篇に登場する家族たちの心情描写は繊細で、作者の筆力は確かなのだと思います。ただ、兄妹の禁断の恋や複雑な恋愛感情などの主題が、私の年代にはどうしても距離感があります。また、短篇集という形式のせいか、それぞれのお話があっさりしていて、登場人物たちにもう少し深く寄り添いたいという気持ちが残りました。 戦争の傷痕と家族というテーマには共感する部分もあったのですが、全体として心が揺さぶられるような感動には至りませんでした。むしろ、読み終わった後になんとなくモヤモヤした印象が残ってしまい、何度も読み返してみようという気にはなりませんでした。 評判の高い作品だけに、これは私個人の好みの問題なのかもしれません。もっと年代が近い方や、複雑な人間関係を深く掘り下げた文学がお好きな方には、違う評価になるかもしれませんね。

感想

直木賞受賞という話題性に惹かれて手に取った一冊だが、期待以上の傑作だった。短篇連作という形式で、一つの家族の複数の視点から「愛」と「家族」という普遍的なテーマに向き合う。 各編で登場人物が切実に苦しみ、葛藤する姿が生々しく描かれていて、読んでいて何度も胸を突かれた。特に印象的だったのは、それぞれが別々の問題に直面しながらも、見えない絆で繋がっている家族の姿。星座になぞらえた表現が秀逸で、離れていても同じ空の下にあるという、何か温かいメッセージを感じさせる。 五十代も半ばを過ぎると、家族や人間関係についての考え方も深まってくるが、この作品はそうした思索に応える深さがある。団塊世代の親の世代と自分たちの世代のズレ、そして次の世代への責任。短編ながら人生の重みが凝縮されている。 文句なしの傑作。この出版社とこの著者の名前は今後も注視していきたい。同世代の男性にはぜひ読んでもらいたい一冊だ。

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