直人の本棚
アルジャーノンに花束を新版

アルジャーノンに花束を新版

ダニエル・キイス / 小尾芙佐 早川書房 2015年3月13日

感想

長年積み読みしていたこの作品をようやく手に取りました。何度も話題になっているのは知っていましたが、今回の新版出版を機にと思い立ったのです。 読み始めてすぐに引き込まれました。チャーリイという主人公の視点から語られることで、知能の変化が実感できるのです。報告書の形式を通じて、文体や思考パターンが段階的に変わっていく仕掛けは見事としか言いようがありません。 この小説が問いかけているのは、知能や能力といった表面的なものではなく、人間にとって本当に大切なものは何かということ。社会的地位や知識よりも、他者を思いやる心、人とのつながりの方が人生にとってはずっと重要だという真理が、静かに、しかし強く胸に響きます。 58年生きてきて、人間関係や仕事での成功について様々な経験をしてきましたが、この物語はそうした経験と深く共鳴しました。青年時代に読んでいたら、また違う感動があったかもしれません。でも今、この時期に読めたことに感謝しています。傑作とされる理由がよくわかりました。