直人の本棚
自分とか、ないから。 教養としての東洋哲学

自分とか、ないから。 教養としての東洋哲学

しんめいP サンクチュアリ出版 2024年4月23日

感想

最近、書店で話題になっている本が気になって手に取ったのだが、これが予想外に面白かった。東洋哲学という難しそうなテーマを、ぶっ飛んでいるのに論理的という、一見矛盾した方法で解き明かしていく。著者の独特な視点が、仏教や道教、老荘思想といった古典をこれまでにない形で現代に蘇らせている。 仕事の責任も増して、人間関係も複雑化する年代だからこそ、こうした古い知恵が心に響くのだろう。特に「自分とか、ないから」というテーゼが、いかに私たちが執着や固定観念に縛られているか教えてくれた。これを読むと、会社での立場や評価に一喜一憂していた自分がなぜか馬鹿らしく感じられる。 著者が「ニート」という異色の経歴を持つせいか、説教臭くならず、むしろ若々しい視点で古い思想に光を当てている。わかりやすいのに深い。こういう教養本を求めていた。生きづらさの正体が、もしかしたら自分の中にあるのかもしれない—そんなことを考えさせてくれる、啓発的な一冊である。