本男の本棚
感想

同年代の男性が定年後どう生きるかをリアルに描いた作品だから、つい引き込まれてしまった。銀行員の田代壮介が会社人生の終わりを迎えて、一気に居場所を失う様子は、他人事とは思えない迫力がある。 仕事に人生のすべてを捧げてきた男が、突然その舞台を失った時の空虚感や焦燥感がぐっと伝わってくる。家族との関係、同年代の友人たち、そして自分自身の価値観。いろいろなものが揺らぐ過程で、彼がどう足掻き、どう向き合おうとするのか。その姿勢に、正直に胸を打たれた。 文体も読みやすく、気軽に楽しめるのに深いテーマを扱っている。自営業の自分とは置かれた立場は違うけれど、人生の後半戦をどう過ごすかについて考えさせられる良い作品だ。まさに今、この世代が直面している普遍的な問題を見事に捉えていると思う。定年を控えた友人にも勧めたいくらいだ。

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