斎藤の本棚
杏のパリ細うで繁盛記

杏のパリ細うで繁盛記

新潮社 2026年3月18日

感想

杏さんのエッセイが9年ぶりに出版されたと聞いて、すぐに手に取りました。話題になっていたこともあって、期待値は高かったのですが、予想以上に引き込まれてしまいました。 36歳でパリへ移住を決意した著者の日常が、ユーモアとリアリティのバランスで綴られています。子ども3人と犬を連れての大冒険なんて、想像するだけで大変そうなのに、著者の筆のタッチは軽く、時に自分のポンコツぶりを笑い飛ばす余裕さえ感じられます。 特に印象的だったのは、日本とパリの生活の違いを描く部分です。文化的なギャップを面白おかしく、でも深い洞察とともに語る姿勢が素敵でした。子育ての葛藤、人生の転機、そして愛犬との別れまで、人生の重いテーマにも誠実に向き合っています。 家事や育児で日々を過ごす自分にとって、著者の「自分のことが好きになれそう」という言葉がすごく響きました。同世代だからこその共感もあります。読んでいて、人生の選択肢は自分たちの手の中にあるんだな、と改めて感じさせてくれる一冊です。

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