読書三昧の本棚
硝子の塔の殺人

硝子の塔の殺人

知念 実希人 実業之日本社 2021年7月30日

感想

話題のミステリ作品ということで手に取ってみました。雪深い森に立つ硝子の塔という設定は確かに魅力的で、舞台設定だけで引き込まれます。500ページという大作を一気読みできるほどの面白さはありました。 ただ、正直なところ、新本格ミステリの大家たちが絶賛しているほどの感動は私には届きませんでした。トリックは精緻に構築されていますし、ページをめくる手が止まらなくなる工夫も随所に感じられます。でも、読み終わった後に「ああ、やられた!」という爽快感よりも、「そういうオチなのか」という納得止まりだったんです。 自営業で毎日忙しくしているからかもしれません。本当に傑作と呼ばれる作品には、読者を揺さぶるような何かが必ずありますよね。この作品は完成度の高さと知的興奮は確かですが、心に残る余韻という点では物足りなさが残りました。ミステリ好きなら確認する価値はありますが、特別な感動までは期待しない方が無難かもしれません。