読書三昧の本棚
戦没農民兵士の手紙

戦没農民兵士の手紙

岩手県農村文化懇談会 岩波書店 1961年7月20日

感想

最近、メディアで取り上げられていたこの本をようやく手に取りました。戦没農民兵士たちの手紙という、これまであまり注目されてこなかった視点が新鮮で、一気に読み進めてしまいました。 野良や炭焼小屋から突然戦場へ駆り出された兵士たち。彼らが故郷を思い、家族を案じながら綴った手紙には、教科書では絶対に学べない人間らしい息遣いが感じられます。「国のため」という大義名分の陰に隠された、ごくごく普通の人間の悲哀と葛藤。読んでいて何度も胸が詰まりました。 新書という手軽なフォーマットながら、歴史の重みを十分に伝えてくれる構成も秀逸だと思います。自営業をしていて、この年になると戦争の時代をどう捉えるかが実感を伴ってくるんですね。若い頃に読むのとは違う響き方があります。 現代を生きる私たちが忘れてはいけない声が、ここには確かに存在しています。多くの人に、特に若い世代に読んでもらいたい一冊です。