読書三昧の本棚
感想

本屋大賞受賞作という評判を聞いて、迷わず手に取りました。そして、その判断は正解でした。 この作品は、一見すると社会的なスキャンダルから始まるのですが、その先に広がるのは、従来の「愛」とは違う、人間関係の新しい可能性についての深い考察です。主人公がどのような想いで相手と寄り添うのか、その心理の揺らぎや葛藤がこれほどまで丁寧に描かれた作品は珍しい。自営業をしていると、人間関係の複雑さについて考える機会も多いのですが、この本を読んでいると、自分自身の人生経験と重ねて考えてしまいます。 映画化もされたということで、多くの人に愛される理由がよくわかります。ただ、小説という表現形式だからこそ伝わる、細やかな感情の揺らぎや時間の流れの美しさがあるんです。文庫本で手軽に読める形になっているのも嬉しい。これは、人生の中盤に差し掛かった女性にこそ、強くお勧めしたい一冊です。