橋本 美月の本棚
白鳥とコウモリ(上)

白鳥とコウモリ(上)

東野 圭吾 幻冬舎 2024年4月3日

感想

出版当時から評判の高かった『白鳥とコウモリ』がついに文庫化されたということで、さっそく手に取ってみました。二つの殺人事件をめぐるミステリーなのですが、表面的な事件解決だけでは終わらないところが本当に魅力的です。 時間軸を交差させながら、一九八四年と二〇一七年の事件がじわじわと繋がっていく構成がとても巧みで、読み進めるたびに新しい疑問が湧き上がってきます。特に印象的だったのは、被害者の娘と加害者の息子という二人の視点から親の行動に違和感を感じていく場面。これだけで物語がぐんと深くなるんですね。 パート仕事の休憩時間にちょっとずつ読んでいたのですが、気になって気になって、続きが読みたくて仕方ありませんでした。大人が読むべき重厚な人間ドラマとしてのミステリーというか、単なるトリックものではなく、人間の複雑さに向き合った作品だと感じます。この年代だからこそ、登場人物の選択や葛藤がより深く理解できるような気がします。上巻だけでこれほどの充実感。下巻が待ち遠しいです。

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