橋本 美月の本棚
スピノザの診察室

スピノザの診察室

夏川 草介 水鈴社 2023年10月27日

感想

話題の本ということで手に取った一冊でしたが、これは本当に素敵な物語ですね。『神様のカルテ』シリーズの著者の最新作ということで期待していましたが、期待以上でした。 京都の町中の病院で働く医師・雄町哲郎という人物が、どのような思いで患者と向き合い、人生と向き合っているのか。妹を失った悲しみを抱えながらも、甥と共に歩み続ける姿勢に胸が打たれました。医師としての倫理観や葛藤だけでなく、人間らしさ、そして何より「希望」の大切さが丁寧に描かれています。 57歳という年代だからこそ、人生のいろいろな局面を見つめ直させてくれる深さがあるんだと思います。命とは何か、幸せとは何かという根本的な問いに対して、この本が静かに語りかけてくる感覚がありました。医療の現場を舞台にしながらも、決して重苦しくなく、むしろ温かみのある語り口が素晴らしい。 パート勤務で忙しい日常の中でも、こういった良質な作品に出会えるのは読書の喜びですね。心がしっかり満たされる一冊です。

ブクログからブクマへ
かんたん引っ越し

読書記録や感想をそのまま移行。
数分の準備で、ブクログの本棚をブクマへ。

詳しく見る
ブクログからブクマへの引っ越しイメージ