マカン・マラン

マカン・マラン

古内一絵

出版社:中央公論新社 出版年月日:2025/11/20

中央公論新社 | 2025/11/20

4.00
本棚登録:4人

みんなの感想

感想

定年前のこの年代になると、人生経験って大事だなって改めて思うんですね。この本を読んでいて、そう強く感じました。 シャールという主人公が、元エリートサラリーマンからドラァグクイーンになっているというだけで、もう心つかまれてしまいました。人生って予想外の道へ進むことなんてざらですからね。そのお店で出される料理の数々が、各エピソードの登場人物たちの心を温めていく。優しさってこういう形であるんだなって、しみじみと感じながら読みました。 四つの物語は短編ながらも、それぞれ独立した人生ドラマが詰まっていて、どれもが良かったです。特に、料理を通じて人と人がつながっていく過程が自然で、作為的でない。これが10年愛され続けているというのも納得できます。 久しぶりに、読んだ後に心がほっこり温かくなるような本に出会った気がします。気負わずにさっと読めて、それでいて深い余韻が残る。嘱託の身で日々を過ごしている身には、こういう本がいいですね。仕事で疲れた日の夜、ゆっくり読むにはぴったりの一冊です。

感想

SNSで話題になっていたこの本、ついに文庫化されたということで手に取ってみました。元エリートサラリーマンがドラァグクイーンという設定だけで、もう惹きつけられてしまいました。 お話は四つの短編で構成されており、どれもシャールのお店を訪れる異なる背景を持つ人々が登場します。40代のキャリア女性、手料理を食べない中学生など、現代に生きる誰もが抱える葛藤や疲労感が丁寧に描かれています。 何より素敵なのは、提供される料理に込められた「優しさ」の表現です。食べ物を通じて、人間関係が温かく紡ぎ直されていく過程が本当に心地よい。パート勤務をしながら日々を過ごす私たちにとって、「苦しいのはあなたがちゃんと考えているから」という言葉は、これ以上にない励ましになるんですよね。 10年愛され続けた名作というのも納得です。時代が変わっても、人間の本質的な優しさへの渇望は変わらないのだと改めて感じさせられました。静かで、でも深く心に残る一冊です。

感想

ドラァグクイーンが営む夜間営業の店で提供される料理を通じて、人生の機微を描く作品。話題性の高さに引かれて手に取りました。 各エピソードに登場するキャラクターたちは確かに魅力的で、それぞれが抱える悩みや葛藤は現代人の我々にも共鳴するものがあります。仕事に打ち込む女性、親子関係に悩む少年など、読み進めるうちに彼らへの思いが募ります。 ただ率直なところ、物語としての奥行きにやや物足りなさを感じてしまいました。各話が短編集という構成のためか、キャラクターの内面描写が浅く、一種の「いい話」で完結してしまう傾向があります。人生経験を重ねた身としては、もっと人間関係の複雑さや葛藤の深さを期待していたのです。 それでも、表紙帯にある「前へ進もうとしている証拠よ」というメッセージには惹かれます。優しさに満ちた世界観は確かに好ましい。文庫化されて手に取りやすくなったという点も含め、話題の一冊として読む価値はあると思います。万人受けする作品ではありますが、深い感動を求める読者には物足りないかもしれません。

感想

文庫化を機に手にしてみた一冊です。ドラァグクイーンのシャールが営むお店の話と聞いて、最初は正直どんな内容なのか見当がつきませんでしたが、読んでみるとこれが実にいい。 四つの物語それぞれに登場する人物たちが、みんな何かしら心に抱えているんですね。仕事に疲れた女性、親子関係に悩む少年、いろいろ。そこへシャールが用意する料理がね、ただ食べ物ではなく、その人その人に必要な何かを運んでくるような感じなんです。 説明文にもありますが「苦しかったりつらかったりするのは、ちゃんと考えて前へ進もうとしている証拠」という言葉。これは人生経験を重ねた身には、改めて胸に響きました。何も悩まず楽なだけが良いわけじゃない、そういう当たり前のことをあらためて思い出させてくれる。 気軽に読める小説として、でもどこか心が温まるものとして。素敵な作品です。

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