橋本 美月の本棚
鉄道員(ぽっぽや)

鉄道員(ぽっぽや)

浅田 次郎 集英社 2000年3月1日

感想

直木賞受賞作というので手に取ってみたのですが、こんなに心が温かくなる短編集があるでしょうか。特に表題作の「鉄道員」は、娘さんと奥さんを亡くされた駅長さんのお話なのに、決して暗くない。むしろ、そこに生きる人間のやさしさと強さが静かに伝わってくる作品です。 浅田次郎さんの描き方が本当に素敵で、日常の何気ない場面の中に涙が滲むような瞬間が隠れている。パート仕事で毎日同じことの繰り返しをしている身としては、「それでも日々を重ねることの大切さ」というメッセージが心に響きました。八編すべてが短編ながら、それぞれに奥行きがあって、読むたびに違う感動を覚えます。 もう一度読み直したくなる、そんな良い本です。57年生きてきた中でも、こういった「人間らしさ」を丁寧に描いた作品に出会えるのは嬉しい。若い頃には気づかなかった味わいがあるのかもしれません。

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