近藤の本棚
りゅうのたまご

りゅうのたまご

佐藤暁 偕成社 1981年8月1日

感想

手にした瞬間、新書のコンパクトなサイズながら、その中に詰まった世界観の豊かさに惹き込まれました。 エンジニアとしての日々は論理と効率性に満ちていますが、このエッセイ集を読むと、そうした思考の枠外にある物事の見方や感じ方を改めて意識させられます。「りゅうのたまご」というタイトルの象徴性も秀逸で、一見ファンタジックながら、実は私たちの日常に隠れている不思議さや可能性について丁寧に綴られています。 著者の観察眼は細かく、鮮烈です。些細な風景や人間関係の中に、思わずはっとさせられる洞察が散りばめられている。短編形式なので、出勤前の朝や移動中のちょっとした時間に読み進められるのも新書ならではの利点ですね。 ただ、個人的にはいくつかのエッセイが抽象的すぎて、もう少し具体的な事例があれば理解が深まったのではないかと感じた部分もあります。それでも全体的には、仕事一辺倒になりがちな頭を柔らかくしてくれる、良い読書体験となりました。理屈だけでない、別の視点から世界を見る大切さを思い出させてくれた一冊です。

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