近藤の本棚
感想

加賀恭一郎シリーズの評判の高さに惹かれて手に取りました。「家族のあり方を問う」というキャッチコピーに期待していたのですが、正直なところ、想定の範囲内に収まってしまった感があります。 少女の死という重い題材を扱いながらも、物語を通じて提示される「真実」にまでたどり着く過程が、やや予定調和的に感じられました。加賀刑事の推理自体は丁寧で、ロジックもしっかりしているのですが、読み手としては途中からどこへ向かうのかが見えてしまう。エンジニア気質の私は、ストーリーの構造を早々に解析してしまい、後半のページをめくる動力がいくぶん減速してしまいました。 ただし、直木賞受賞後第一作ということもあり、家族関係の描写は丁寧です。登場人物たちの複雑な心情が層状に積み重ねられており、そこは読む価値があります。傑作とまでは言い難いものの、堅実な警察小説として一定水準は保たれている。シリーズ作品として無難にこなしている、そんな印象です。 エンタメ性と深さのバランスを期待する方には満足できるかもしれません。

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