ペンネームの本棚
感想

ピアノコンクールという舞台を通じて、四人の登場人物の人生が交錯する様子を描いた作品です。正直なところ、ピアノの技術的な話が多くなるのかなと心配しながら読み始めたのですが、そんな心配は無用でした。 むしろ印象的だったのは、各キャラクターの内面描写の丁寧さです。天才肌の主人公、経済的な事情を抱える少女、プレッシャーと向き合う少年、そして音楽に人生を捧げてきた大人まで。それぞれが「才能とは何か」「運命とは何か」という問いに直面していく過程が、実に人間らしくて引き込まれました。 日中子どもの相手をしているときは、こういった群像劇的な構成の作品を読むのは難しいと感じることもありますが、この本は違いました。各章が適度な長さで、キャラクターの切り替わりも分かりやすく、ちょこちょこ読み進められるペース感が良かったです。 音楽的な描写も美しく、ページをめくるたびに現代の緊張感あるホール内の空気が伝わってくるようでした。読み終わった今、また最初から読み返してみたいという気持ちになっています。

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