本棚の住人の本棚
感想

図書館で手にとった時は、題名の美しさに惹かれただけだったんですね。でも読み始めたら、ページをめくる手が止まりませんでした。 台湾と新疆の異なる背景を持つ二人の女性が、東京という異国で出会い、関係を深めていく。そういう現代的な題材なんですが、著者の筆致がとても上品で静か。押し付けがましくなく、二人の心の揺らぎや葛藤が丁寧に描かれています。 長く生きてきた私だからこそ、わかることもあるんでしょう。家族や政治、そういった重い背景を抱えながらも、それでも相手を愛そうとする営み。自由になりたいという願い。読んでいて、人間って複雑だなあ、でも誰もが何かを抱えながら生きているんだなって、しみじみ思わされました。 文庫版なので手軽に持ち運べるのもいい。もう何度か読み返したいと思える一冊です。気軽に読める本じゃないけれど、静かに心に残る物語。ご一読をお勧めします。

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