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いちえふ 福島第一原子力発電所労働記(下)

いちえふ 福島第一原子力発電所労働記(下)

竜田 一人 講談社 2026年2月13日

感想

原発事故という重大なテーマを扱った作品だからこそ、慎重に手に取った一冊だ。しかし蓋を開けてみると、これほど貴重なドキュメントはなかなかない。 著者が実際に福島第一で働いた経験をベースにしているという点が、この作品の説得力の源だと感じた。漫画というフォーマットだからこそ、数字や報道では伝わらない現場の「空気」が生々しく伝わってくる。1号機原子炉建屋での作業の緊張感、作業員たちの日常的な心持ち、そして何より「福島の現実はまだ続いている」という警告が心に残る。 下巻では廃炉作業の最前線に踏み込む描写が続くが、単なるセンセーショナルな描き方ではなく、あくまで冷静で誠実な筆致を貫いている点が素晴らしい。国際的な評価も納得できる。 我々は震災から15年を経て、この問題をどこまで真摯に向き合えているのか。そうした問いを改めて投げかけられた。フリーランスとして情報を吟味する習慣がある身だからこそ、この作品の価値が理解できた気がする。多くの人に読まれるべき傑作だ。

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