完本 茶話 下

完本 茶話 下

薄田泣菫 / 谷沢永一 / 浦西和彦

出版社:冨山房 出版年月日:1984/02/24

冨山房 | 1984/02/24

3.33
本棚登録:4人

みんなの感想

感想

新聞・雑誌の連載コラムを集めたというシンプルなコンセプトながら、読み始めると引き込まれてしまいました。大正・昭和初期という時代背景があるにもかかわらず、登場する人物たちの生態観察は現代にも十分通じるものばかり。 著者の視点の鮮烈さに驚きます。日常の中の些細な場面から人間の本質を抽出し、それを軽妙なタッチで描写する。決して説教的ではなく、むしろユーモアに満ちているところが素晴らしい。フリーランスとして人間関係の機微に敏感にならざるを得ない立場にいると、こうした洞察の深さに頷かされることが多々あります。 下巻ということで、既に上巻を読んでいる方にはもちろん推奨ですが、単独でも十分成立する短編集的な構成なので、初めての方でもアプローチしやすいでしょう。新書という手軽なフォーマットも、こうした短編随筆には最適な形態だと感じました。古典的な作品ですが、今なお色褪せない人間観察の妙を堪能できる一冊です。

感想

新聞や雑誌の短編随筆というフォーマットが、こんなにも洗練された世界観を作り出すことができるのか、と改めて感じさせられた一冊です。 大正・昭和初期に執筆されたものとは思えないほど、描かれる人間模様が今でも生き生きとしています。著者の観察眼の鋭さと、それを表現する散文の美しさが相まって、ページをめくるたびに「こういう人、います」と頷いてしまう。仕事で疲れた日々の中で、こうした軽やかで知的な文章に触れることは、私にとって何よりの栄養になります。 ただ、下巻ということで既に上巻を読んでいることが前提となるため、初心者には多少の予備知識があった方がスムーズに入り込めるかもしれません。また、時代背景への理解があると、著者の批評性がより鮮明に立ち上がってくるでしょう。 それでも、エッセイが好きで、古典的な教養に触れたいという読者には、心からお勧めできる一冊。慎重に選ぶ私でも、この質の高さには納得です。

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