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おいしいごはんが食べられますように

おいしいごはんが食べられますように

高瀬 隼子 講談社 2022年3月24日

感想

芥川賞受賞作とあって、期待値も高く手に取った一冊です。正直なところ、最初は職場の人間関係を「食べること」で描くという題材に、どこまで深さが出るのか懐疑的でした。しかし読み進めるうちに、その問い自体が無粋だったことに気づかされました。 三人の登場人物たちの微妙な距離感や心理が、食卓を通してこんなにも繊細に表現できるのか。二谷の揺らぎ、芦川の優しさの正体、押尾の頑張りの裏側——それらが食べ物という普遍的な営みに絡み合って立ち上がっていく過程は本当に秀逸です。 フリーランスとして複数の人間関係を保つ身としては、特に「そこそこうまくやっている」職場というものの息苦しさと、その中での小さな葛藤がリアルに伝わってきました。派手な盛り上がりはないのに、何度も読み返したくなる。こういった質感のある作品に出会えるのは、やはり賞を取った作品を選ぶ価値があるということなのでしょう。丁寧な筆致で、大切なことを教えてくれた一冊です。

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