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わたしたちが泥棒になった理由

わたしたちが泥棒になった理由

松尾 由美 新潮社 2026年2月28日

感想

話題になっていたので手に取ってみましたが、期待以上の面白さでした。 六つの短編それぞれが「犯罪」をテーマにしながらも、単なるミステリに留まらない人間ドラマになっているのが素晴らしい。特に印象的だったのは、登場人物たちがみな「ごく普通」だということです。完全な悪人ではなく、むしろ事情があって、やむなく一線を越えてしまった人たちばかり。教員生活が長いと、生徒たちの様々な家庭事情を目にすることがありますが、この作品はそうした人生の複雑さを見事に描いています。 著者の「切れ味」というのは、こうした切実な動機を冷徹に描きながらも、どこか温かみを感じさせるバランス感覚なんだと思います。一編一編が短いので、通勤の電車の中でも読み進められるのも実用的。現代を生きる私たちの心に引っかかるような作品ばかりで、読み終わった後もしばらく考え込んでしまいました。文庫本という手軽さもあり、幅広い層に薦めたくなる一冊です。

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