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幸せな結末 大滝詠一ができるまで

幸せな結末 大滝詠一ができるまで

萩原 健太 文藝春秋 2026年3月12日

感想

大滝詠一という音楽家のことを、正直なところここまで深く知りませんでした。この本を読んで、彼がいかに音楽を愛し、細部にこだわる完璧主義者だったのかが伝わってきます。 特に印象的だったのは、少年時代から一貫して音楽と向き合う姿勢が描かれている点です。野球帽の手描きマークやパソコン通信への夢中さといった小さなエピソードの積み重ねが、後の音楽活動にどうつながっていくのかーー物語として実に巧妙に構成されています。教壇に立つ身として、創作活動における「完璧さへの執着」と「遊び心」のバランスについて、あらためて考えさせられました。 遺作という性質上、本人の言葉がふんだんに引き出されているのも魅力です。アメリカン・ポップスへの原点回帰という人生の転換点も、時代背景とともに丁寧に描かれており、昭和の音楽シーンを知る世代にとって実に読み応えがあります。ただ、若干の冗長さを感じる部分もあり、もう少しコンパクトにまとめられたら完璧だったかなというのが率直なところです。