わたしたちが泥棒になった理由

わたしたちが泥棒になった理由

松尾 由美

出版社:新潮社 出版年月日:2026/02/28

新潮社 | 2026/02/28

4.33
本棚登録:3人

みんなの感想

感想

「犯罪」と聞くと、つい眉をひそめてしまいますが、この本はそんな先入観をいい意味で裏切ってくれました。 収録されている6つの短編は、どれも「普通の人たちが、やむを得ずしてしまった犯罪」を描いています。でもね、読んでると気づくんです。彼らはちっと悪人じゃなくて、むしろ優しい人たちなんだなって。おばあちゃんの行動の背景にある想い、双子の姉妹が陥った切実な状況…どのエピソードも、なぜそんなことをしなければならなかったのか、その理由がじんわり胸に響きます。 ミステリとしての面白さはもちろんのこと、登場人物たちの人間らしさがしっかり描かれているのが良かった。謎解きのカタルシスだけじゃなく、人生って複雑だなあ、っていう余韻が残ります。短編集なので読みやすいし、通学時間に少しずつ読むのにぴったり。気軽に読める推理小説を探してる人、ぜひ手にとってみてください。

感想

話題になっていたので手に取ってみましたが、期待以上の面白さでした。 六つの短編それぞれが「犯罪」をテーマにしながらも、単なるミステリに留まらない人間ドラマになっているのが素晴らしい。特に印象的だったのは、登場人物たちがみな「ごく普通」だということです。完全な悪人ではなく、むしろ事情があって、やむなく一線を越えてしまった人たちばかり。教員生活が長いと、生徒たちの様々な家庭事情を目にすることがありますが、この作品はそうした人生の複雑さを見事に描いています。 著者の「切れ味」というのは、こうした切実な動機を冷徹に描きながらも、どこか温かみを感じさせるバランス感覚なんだと思います。一編一編が短いので、通勤の電車の中でも読み進められるのも実用的。現代を生きる私たちの心に引っかかるような作品ばかりで、読み終わった後もしばらく考え込んでしまいました。文庫本という手軽さもあり、幅広い層に薦めたくなる一冊です。

感想

新潮社の「わたしたちが泥棒になった理由」を読み終わった。タイトルだけ見ると少し重い印象を持つかもしれないが、想像していた以上に引き込まれてしまった。 6つの短編で構成されたこの作品は、一見するとミステリやサスペンスのようだが、その核にあるのは「なぜ普通の人間が犯罪を起こしたのか」という深い人間ドラマだ。優しいおばあちゃんの行動から始まり、双子の姉妹、猫の消失事件まで——各話に共通しているのは、主人公たちが置かれた切実な状況や切なさである。 何度も立ち止まりながら読んだ。それぞれの登場人物が犯した行為を「悪」と簡単に判断できず、むしろ彼らの事情や気持ちに寄り添ってしまう。これはミステリを求める読者からすると少し肩透かしを食らう部分もあるが、私にとってはむしろ好印象だ。人間の複雑さを丁寧に描き出す力量は、さすが名手というしかない。 慎重に本は選ぶ方だが、この一冊に関しては迷わず手にして正解だった。大人が読むべき作品だと思う。

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