智子の本棚
カミュの歌鳥 花譜小説集

カミュの歌鳥 花譜小説集

中村 紬 KADOKAWA 2026年5月27日

感想

SNSで見かけて気になっていた話題作、ついに読み終わりました。バーチャルシンガー・花譜とのコラボプロジェクトということで、どんな世界観が広がるのか期待していたんですが、予想を上回る感動でした。 AIによって人間関係が希薄になっていく近未来という設定から始まるのに、物語が進むにつれて家族愛、友情、夢といった人間にとって本質的に大切なものが浮き彫りになっていく構成が秀逸です。教師の視点から描かれる日常の中に、静かだけど確かな温かみがあります。 何より、あの「走馬燈」の場面での展開には心を掴まれました。記憶の断片を辿りながら、登場人物たちの人生が立体的に見えてくるんです。自営業で日々の忙しさに追われている私だからこそ、このストーリーが胸に響きました。 花譜の音楽と物語が見事に調和していて、音×小説という新しい表現形式の可能性を感じます。大切な人との「あの日の約しょう」について改めて考えさせられる一冊。多くの人に読んでもらいたい作品です。

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