五木寛之さんの『大河の一滴』が出た当時、私もまだ30代で、その深い思想に引き込まれたものでした。あれから30年。その集大成がこの最終章だと聞いて、どうしても読まずにはいられませんでした。 93歳という年齢で書かれた人間論は、若い頃の著作とはまた違う味わいがあります。時間が経つにつれて研ぎ澄まされた思考、人生経験に裏打ちされた言葉の重さが感じられるのです。私も60代後半を迎えた今だからこそ、素直に心に届く部分が多くありました。 特に印象的だったのは、人生の最後の段階において大切なことは何かという問いへの向き合い方です。決して説教的ではなく、静かに考えさせてくれる文章に何度も立ち止まりました。パート勤務をしながら毎日を過ごしている私にとって、こうした思索の機会をくれる本は本当に貴重です。 やや抽象的な表現が多い部分もありますが、それもまた五木さんらしさなのだと思います。人生の深みを感じたい方には、本当におすすめしたい一冊です。
最近登録された他の本の感想
2026年09月06日
最近の本屋さんのコーナーで見かけて、シリーズ第2巻というのが気になって手に取りました。何といっても「推し」という言葉が今どきですし、こういう若い世代の流行りをついていくのも大切だなって思ってるんです。 読み始めたら、本当に面白くて止まりませんでした。探偵さんが不器用だけど必死で推し活をしながらミステリを解く、というこのお話の設定が秀逸です。顔が良くて、賢くて、料理までできるなんて、筆者さんのユーモアセンスが光ってますね。それにジャンクな手料理を作りながら事件を解くというシーンも、なんだか温かみがあって。 謎解きもしっかり用意されていて、ミステリとしても成立しているところが素晴らしい。単なる推し活ノベルではなく、ちゃんとした小説になっているんです。パート帰りの疲れた頭でも読みやすい文体で、ページをめくる手が止まりませんでした。こんな楽しい作品が新潮社から出てるなんて、出版界も変わってきたんだなあと感じます。次の巻も是非読みたいです。
2026年08月30日
YouTubeで話題になっているこの著者の本、ずっと気になっていたんです。前作の「四毒抜き」についての評判も聞いていましたが、今回の「四得摂り」はその続編とのこと。さっそく手に取ってみました。 正直、ここまで分かりやすく、そして実践的な食事の考え方が書かれているとは思いませんでした。米、魚・貝・肉、旬の食べ物、発酵食品という「四得」という概念は、複雑に思える健康食を本当にシンプルにしてくれます。私たち世代が若い頃に食べていた日本の食事の良さを改めて感じさせられました。 巻末の「身体と食の歳時記」も素晴らしい。季節ごとに何を食べるべきかが書かれていて、パート勤めで忙しい毎日の中でも、これなら続けられそうだと感じます。既に実践し始めて二週間ですが、確かに体調の変化を感じているんです。 同年代の友人たちにもおすすめしたい一冊。こういう実用的で、かつ今話題の本こそ、読む価値があると思います。
2026年08月22日
最近、本屋さんで目に留まった話題の一冊です。台湾人と新疆ウイグル出身の女性が、東京で出会い、心を通わせていく物語。こんな視点の小説があるんだと、新鮮な驚きを感じました。 著者の李琴峰さんは新しい日本語文学の旗手だそうですが、確かに独特の世界観があります。異国で出会った二人の女性が、言葉を重ね、想いを交わしていく様子が、とても静かで丁寧に描かれているんです。 ただ、複雑な背景を持つ二人の心情のズレが深まっていく過程は、読んでいて心が重くなる部分もあります。でも、だからこそ、現代に問いかけてくるものがある。家族や政治、セクシュアリティーといった簡単には答えが出ない問題に、正面から向き合った作品だと感じました。 文庫本なので手軽に読めるのも嬉しい。話題になっているわけが、この一冊を読むと納得できます。人生経験が豊かな年代だからこそ、より深く味わえる小説かもしれません。
2026年07月24日
最近SNXでも話題になっていたから、つい手に取ってしまいました。やーこさんの猫エッセイは初めてでしたが、こんなに面白いんですね。 うにとぺるという二匹の猫たちとの暮らしが、ユーモアたっぷりに描かれています。特に猫たちが飼い主さんをどうやって手玉に取るか、その心理戦のくだりには思わず笑ってしまいました。この年になっても、こんなに声を出して笑う本は珍しいです。 写真も本当にかわいらしくて、文章と組み合わさると一層引き込まれてしまいます。エリザベスカラーや術後服の話など、実用的な情報も交えながら、ただの猫の可愛さだけじゃなく、リアルな猫との暮らしの大変さも伝わってくるのが素敵。 パートの帰宅後、疲れた体が癒される一冊です。息子たちにも勧めたいくらい。猫を飼っている方はもちろん、猫好きならきっと気に入ると思いますよ。
2026年07月20日
最近、テレビやラジオで話題になっていたので、文庫本が出たのを機に手に取ってみました。長田弘さんの作品は初めてでしたが、こんなに心がほぐれるような本があるんですね。 散文詩というジャンルさえ、正直なところ読み慣れていなかったのですが、どのページを開いても自分の人生に重なるような、ほっとする言葉に出会えました。特に「あのときかもしれない」という章は、子ども時代の思い出をそっと拾い上げてくれるようで、読んでいて懐かしさがこみ上げてきました。 パート勤務で毎日が忙しく、つい慌ただしく過ごしてしまうのですが、この本を読むと、立ち止まって深呼吸する大切さに気づかされます。さりげない日常の風景の中に、こんなに豊かで美しい世界があるんだと改めて感じました。一日一篇ずつ、ゆっくり読み返すのもいいですね。68歳だからこそ響く言葉たちが、たくさん詰まっています。
2026年07月15日
話題になっているこのシリーズを、ようやく手に取ってみました。 正直なところ、最初は短編集ということで気軽に読めるだろうという軽い気持ちでした。でも開いてみると、これが本当に素敵な世界なんです。吉田篤弘さんの文章は温かみがあって、一編一編がまるで大事な友人から聞く思い出話のよう。10枚程度という短さだからこそ、余計な装飾がなく、本質的な優しさが伝わってくるんでしょう。 パート帰りの疲れた時間に、コーヒーを飲みながらこの本を読むというのが、私の最近の楽しみになってしまいました。登場する人物たちの何気ない日常や小さな喜びが、こちらの心をほんわりと温めてくれるんです。どこから読んでも大丈夫というのも便利で、その日の気分で選べるのが良い。 7年愛され続けて10万部というのも納得です。派手さはないけれど、何度も読み返したくなる。そういう本って、本当は一番贅沢な本なんだと思います。娘にも勧めたいくらいです。
2026年07月13日
養老孟司さんの名前は前からよく見かけていたので、この本も気になってずっと気になっていました。話題になってるし、ちょうどいいかなと手に取ってみたんです。 「ものがわかるとは何か」という素朴な問いから始まるこの本、正直なところ哲学的で難しいのかなと思っていたんですが、全然そんなことはありませんでした。むしろ日常生活の中での違和感や、当たり前だと思ってることについて改めて考えさせてくれるというか。 パート先での人間関係でも、わかったつもりになってることって多いんだなって気付かされました。著者の「わかっていなくても説明ならできます」という言葉に、何だか胸がすっとしましたね。長く生きてると、知ったかぶりしてしまうことが増えるんです。 読んでいて、考え続けることの大切さ、そしてそれが自分を自由にしてくれるんだという考え方が素敵だなと思いました。難しく構えず、柔らかい気持ちで読めるエッセイです。今、同年代の友人たちにも勧めたくなっています。
2026年07月04日
孫の勧めで読み始めたこのシリーズも、ついに22巻まで来てしまいました。最初は難しいかなと思っていたのですが、回を重ねるごとに物語の面白さに引き込まれてしまい、気がつけばシリーズを追い続けていました。 この巻では、いよいよ大きな決着を迎えるようで、登場人物たちの想いがぶつかり合う様子が印象的です。複雑な設定と登場人物の多さに最初は戸惑いましたが、丁寧に読み進めていくと、それぞれのキャラクターの背景や動機がしっかり描かれていることに気づきます。パート先の休憩時間に少しずつ読むのが最近の楽しみになっていて、同年代の友人たちにも話題として共有できるのが嬉しいですね。 ライトノベルということで最初は侮っていましたが、想像以上にしっかりとした物語構成になっていて驚きました。若い世代から大人まで楽しめるというのは、本当だったんだと納得します。次の巻も早く読みたくなる、そういう中毒性のある面白さが、このシリーズの魅力なのでしょう。
2026年07月04日
最近、話題になっていたファンタジー小説ということで手に取ってみました。婚約者に捨てられた令嬢が、自分の才能を活かして人生をやり直すというストーリー。時流に乗った"逆転劇"のテーマですね。 読んでみると、確かに爽快感のある展開で、つい先へ先へと読み進めてしまいました。主人公が次々と革新的なことをやり遂げていく場面は、こちらまで応援したくなります。ただ、正直なところ、登場人物たちの心の揺らぎや葛藤がもう少し深く描かれていたら良かったなと思いました。あとから後悔する元婚約者も、もっと人間らしい苦しみが見たかった気がします。 魔法という非日常的な設定を使いながらも、どこか表面的というか、類型的な人物像に感じてしまったんです。お話としては悪くないのですが、小説として心に残るものを期待していたので、そこが物足りなかったというところでしょうか。話題作だからこそ、もう一段階の深さが欲しかったです。
2026年06月27日
新聞の書評欄で目に留まったこの本、買ってみて本当によかった。人気脚本家が書いた初めての小説ということで、どんな作品かと興味津々でしたが、期待以上でした。 若くして亡くなった息子さんのことを、彼の妻と父親の視点から静かに描いていく。タイトルの「昨夜のカレー、明日のパン」という言葉からも想像できるように、日常のちょっとした出来事の中に、心が温かくなるような何かが隠れているんです。 悲しい出来事なのに、読んでいて不思議と幸せな気持ちになれる。それはきっと、周りの人たちの優しさや、何気ない会話の中に込められた「言葉の力」だからなんでしょう。脚本家だからこそ書ける、会話の魅力がこんなにも活きているんだと感じました。 夫を失ったテツコさんの心の変化も、丁寧に、でも押しつけがましくなく描かれていて、同じ年代の女性として深く共感できました。人生の様々な段階にある読者が、それぞれ何かを感じ取れる、そういう素敵な一冊だと思います。
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