てつの本棚
感想

連作形式の短編集だと聞いて手に取ったのですが、想像以上に心に残る作品でした。 死者との再会という非現実的な設定なのに、登場人物たちの抱える悸動や後悔、そして葛藤がとても身近に感じられます。教員という仕事をしていると、生徒や保護者の人生の節目に出会うことが多いのですが、この本に出てくる人間関係の複雑さや心の重さは、本当によく描かれている。 各エピソードが独立しながらも、人間関係の深さと時間の大切さという共通のテーマでつながっていく構成も素晴らしい。読み終わった後、「あの人にあんなことを言ってしまった」とか「伝えられなかったことがある」という誰もが持っている思いが、ふわりと浮かび上がってくる。ページをめくるたびに、人生で大切なものが何なのかを静かに問い直されている気がしました。 文庫本で手軽に読めるのも良い。気軽に楽しむ読書として、でもしっかりと心に届く物語として、両立できている稀有な一冊だと思います。

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