りくの本棚
恋とか愛とかやさしさなら

恋とか愛とかやさしさなら

一穂ミチ / 一穂 ミチ 小学館 2024年10月30日

感想

SNSで話題になっていたので手に取ってみました。プロポーズの翌日というタイミングで起きた事件——正直、ストーリーだけ見ると重くて、読むのに覚悟が必要かもと思っていたんです。でも読み進めるうちに、単なる謝罪と許しの話じゃないことに気づきました。 信頼、欲望、愛情の本質について、登場人物たちが向き合う過程がすごくリアルなんですよね。新夏の葛藤、啓久の後悔、周囲の人間関係の複雑さ——どの視点も納得できる。完全な正解がない問題を前にして、それでも人間はどう生きるのか、という問いが心に残ります。 新社会人として働き始めた今だからこそ、人間関係の難しさが身にしみて感じられました。著者が「男と女の欲望のブラックボックス」と表現しているように、ここには深い人間観察があります。重いテーマながら、決して救いがない話ではなく、むしろ希望や成長を感じさせる終わり方がいい。話題作だからこそ読む価値がある一冊でした。