はるかの本棚
対岸の彼女

対岸の彼女

角田 光代 文藝春秋 2007年10月10日

感想

話題になった直木賞受賞作ということで手に取りました。女性同士の複雑な関係性を描く作品として、確かに現代的なテーマを扱っています。 35歳という同年代の女性たちの人生の選択の違いが、友情にどう影響するのか——その問い自体は非常に興味深いものです。専業主婦と起業家という対照的な立場から見える世界の違いや、価値観のズレが丁寧に描かれている点は読ませます。 ただ、読了後の満足度という点では、若干物足りなさが残りました。女性同士の葛藤や、現代を生きる複数の選択肢について語りかけてくる作品なのですが、そこから得られる深い洞察や問題提起が、やや表面的に感じられてしまったのです。もしかすると、ドラマ化されたことで、その映像化しやすさが優先されたのかもしれません。 それでも、管理職として働く身としては、キャリアと人間関係のバランスについて改めて考えさせられるきっかけにはなりました。多くの読者に支持されるロングセラーになった理由は理解できます。一読の価値はある作品ですが、個人的には期待値と実際のギャップが大きかったというのが正直なところです。