阪急電車

阪急電車

有川 浩

出版社:幻冬舎 出版年月日:2010/08/01

幻冬舎 | 2010/08/01

4.67
本棚登録:4人

みんなの感想

感想

話題になっていたので手に取ってみたのですが、予想以上に引き込まれました。阪急電車という限定された空間で展開する複数の人生模様を、軽やかに且つ深く描く手腕が見事です。 管理職として部下たちの人間関係や葛藤を日々目にしていますが、この作品を読んでいると自分たちも同じように誰かの人生と無意識に交差しているのだと気づかされます。登場人物たちの揺らぎや迷い、そして希望への道筋が、決して大げさでなく、むしろ日常の中にあるものとして描かれているところが素敵です。 図書館で見かけた人、となりに座った女性といった何気ないことから始まる物語の連鎖。そしてそれらがやがてつながっていく—その仕掛けの心地よさ。当たり前だけれど忘れていた大切なことを、温かく思い出させてくれるようなほっこり感があります。 忙しい日々の中で、心がほぐれるような読書体験をしたい時期だったこともあり、この一冊は本当にいいタイミングで出会えた気がします。どの年代の方にも愛される理由がよくわかりました。

感想

阪急電車という身近な舞台設定が目に入ったので、試しに手に取ってみました。最初は短編が繋がっているのかと思いましたが、読み進むうちに登場人物たちの人生がじつに自然に交差していく構成に引き込まれました。 何より良かったのは、どの人物にも等しく丁寧に向き合っている点です。若い女性も、中年の会社員も、学生も、それぞれの悩みや喜びが同じ重みで描かれている。電車という限定された空間で人生が少しずつ変わっていく様子が、とてもリアルで温かい。 64歳の今だからこそ、人生経験が違う人たちの内面が理解できるのだろうと思います。決して派手ではないけれど、読み終わった後に心がほぐれるような感覚があります。レビューを見て慎重に選んだ甲斐がありました。長編を読むのに体力がいる年代ですが、この本は心地よく読める傑作だと思います。ぜひ多くの方に勧めたい一冊です。

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