はるかの本棚
感想

話題になっていたので手に取ってみたのですが、予想以上に引き込まれました。阪急電車という限定された空間で展開する複数の人生模様を、軽やかに且つ深く描く手腕が見事です。 管理職として部下たちの人間関係や葛藤を日々目にしていますが、この作品を読んでいると自分たちも同じように誰かの人生と無意識に交差しているのだと気づかされます。登場人物たちの揺らぎや迷い、そして希望への道筋が、決して大げさでなく、むしろ日常の中にあるものとして描かれているところが素敵です。 図書館で見かけた人、となりに座った女性といった何気ないことから始まる物語の連鎖。そしてそれらがやがてつながっていく—その仕掛けの心地よさ。当たり前だけれど忘れていた大切なことを、温かく思い出させてくれるようなほっこり感があります。 忙しい日々の中で、心がほぐれるような読書体験をしたい時期だったこともあり、この一冊は本当にいいタイミングで出会えた気がします。どの年代の方にも愛される理由がよくわかりました。