直人の本棚
ママがもうこの世界にいなくても 私の命の日記

ママがもうこの世界にいなくても 私の命の日記

遠藤 和 小学館 2026年6月5日

感想

映画化されたこの作品が文庫化されたと聞いて、さっそく手に取った。人生の重たいテーマを扱う本だが、出版社の説明を読む限り、それは単なる悲劇譚ではなく、愛と決断についての深い問い掛けになっているようだ。 遠藤和さんという若い女性が、ステージ4の宣告を受けながらも人生を前へ進めていく。その選択と葛藤、そして周囲の人間関係が綴られているのだろう。自分も五十代を過ぎ、親友を失った経験もある。こうした実話を読むことで、人生とは何か、本当に大切なものは何かを考え直す契機になる。 何より感動したのは、彼女が「死んでも死にきれない」と語った言葉の重さだ。病の苦しみのなかでもなお、自分たちの人生に真摯に向き合おうとする姿勢。そしてパートナーの将一さんが、反対を押し切られながらもそれを受け入れていく過程。娘と父の「その後」を綴った特別寄稿も収録されているという。 今の時代、こういう本を読むことは大事だと思う。話題性だけでなく、本当の意味で人間を考えさせてくれる一冊だった。