直人の本棚
ハレー彗星の館の殺人 老令嬢探偵の事件簿(1)

ハレー彗星の館の殺人 老令嬢探偵の事件簿(1)

ロス・モンゴメリ / 村山 美雪 KADOKAWA 2026年2月25日

感想

最近、書店で見かけて気になっていた本だ。発売前に14ヵ国が版権取得したという帯の謳い文句に惹かれて手に取ったのだが、これが大正解だった。 1910年のハレー彗星が降る夜、貴族の館で起きる殺人事件。79歳の毒舌老令嬢と少年院帰りの召使いが探偵役というユニークな設定だけで既に興味をそそられるが、本作の真骨頂はそこからだ。フーダニット、孤島、密室、貴族という古典ミステリの王道要素をきっちり押さえながら、次々と繰り出されるどんでん返しの連続には本当に参った。犯人候補のリスト作りから登場人物の描写の細やかさまで、著者の手腕が光っている。 このクラスの本格派ミステリに久しぶりに出会った感覚だ。会社の同僚にも勧めたくなるような傑作だが、特に我々の世代が好むような古き良き探偵小説の流れを汲みながら、新鮮な趣向を加えた作品として評価したい。シリーズ化されるとのことだが、次巻が待ち遠しい。