『機動警察パトレイバー』 寿司屋の後藤

『機動警察パトレイバー』 寿司屋の後藤

伊藤 和典 / ゆうきまさみ

出版社:文藝春秋 出版年月日:2026/06/25

文藝春秋 | 2026/06/25

4.00
本棚登録:2人

みんなの感想

感想

懐かしの『パトレイバー』がこんな形で帰ってくるとは。正直、最初は半信半疑だったのですが、手に取ってみて大正解でした。 30年後の後藤隊長が熱海の寿司屋の主人になっているという設定だけで既にニヤリとさせられます。かつての部下たちが時を経て訪れる寿司屋での会話を通じて、彼らがどう人生を歩んできたのかが自然に浮かび上がる。そこにはノスタルジアと現在が心地よく交わっています。 私も同じ世代に近い身ですから、かつて夢中になったアニメのキャラクターたちの「その後」を知ることの喜びは格別です。ただの懐古趣味に留まらず、人生の味わい深さ、経験を重ねることの価値を静かに問いかけてくる作品だと感じました。 熱海という温泉地の情緒的な舞台設定も効いています。賑やかさの中に静寂がある―寿司屋という限定的な空間だからこそ見える人間関係の奥行きがあります。 ファンはもちろん、人間ドラマとして丁寧に書かれたエッセイ的な小説作品を求める方にもお勧めできます。

感想

『パトレイバー』の30年後という設定に、思わず懐かしさがこみ上げてきました。あの熱血漢だった後藤隊長が、熱海の片隅で寿司屋を営んでいるとは。人生の転機というものは、こういうものなのかもしれませんね。 この作品の魅力は、かつての仲間たちが一堂に集う場として、寿司屋という場所が見事に機能しているところです。ネットにも情報が載らないような路地裏の小さな店。そこに集う常連たち、そして思い出の面々。時間が経つことで人間関係も変わり、語り口も違ってくるはずです。その変化を丁寧に描いているのだろうと感じました。 昭和から平成、そして令和へと時代が移る中で、人はどう変わっていくのか。仕事を離れた後、何を大切にしていくのか。そうした人生の後半戦について考えさせられます。世代の異なる常連たちとの関わりもあるでしょう。 ボランティアをしていて思うのは、人生経験の積み重ねが大事だということです。この本を読むと、その思いがより深まる気がします。話題の作品として、多くの人に読んでいただきたい一冊です。

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