雄一の本棚
目の見えない人は世界をどう見ているのか

目の見えない人は世界をどう見ているのか

伊藤亜紗 光文社 2015年4月16日

感想

視覚に大きく依存している私たちが、その感覚を欠いた世界をどう理解するかーそうした問い自体は非常に興味深い。著者が美学の観点から視覚障害者の空間認識や感覚の使い方を分析する手法も評価できる。 ただ、読み進めてみると、内容がやや散漫な印象を拭えない。ユーモアの役割、身体の使い方、コミュニケーション戦略と、扱うテーマが多岐にわたるわりには、それぞれの掘り下げが浅く感じられた。一つのテーマをもっと徹底的に追究してくれたほうが、思想的な深みが出たのではないだろうか。 新書という限られた枠組みのせいもあるかもしれませんが、「見えない世界の豊かさ」という命題に対して、もう一段階踏み込んだ考察を期待していただけに、やや物足りなさが残る。啓発的な内容ではありますが、この分野に関心のある方なら、より詳細な著作を探されることをお勧めします。

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