かなちゃんの本棚
感想

限界集落を舞台にした心理サスペンスということで、期待を持って手にしました。山中の閉ざされた環境と、同居人の妙な言動、そして曾祖母の遺産という複数の要素が絡み合い、読者に緊張感をもたらします。 ただ、率直に申し上げると、物語全体としてはやや散漫な印象を受けました。個々の不安要素は確かに不気味ですが、それらが有機的に結びつき、最終的な恐怖へと昇華する過程に、若干の説得力不足を感じます。管理職として、ロジカルに物事を捉えることに慣れているせいかもしれませんが、伏線の張り方と回収のバランスに、もう一工夫欲しかった。 ただし、恐怖の「本質」を探求しようとする著者の意図は伝わってきました。その点では、決して無駄ではない読書体験です。心理的な不安をしっかり描く力はある。もう少し構成が洗練されていれば、より深く引き込まれたであろう作品だと思います。

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