空飛ぶ広報室
幻冬舎 | 2012/07/01
みんなの感想
仕事柄、人間関係のダイナミズムに興味があるので、この作品は実に興味深い読み物でした。 戦闘機パイロットとテレビディレクターという、一見すると全く異なる世界に生きる二人が出会うという設定だけで、既に物語の可能性が広がっているのが感じられます。実際に読んでみると、その期待を裏切らない展開で、二人の関係性がどのように構築されていくのか、引き込まれてしまいました。 特に印象的だったのは、各キャラクターの職業背景が丁寧に描かれている点です。管理職として働く身として、職場での立場や葛藤がリアルに感じられ、登場人物たちの行動や決断に説得力がありました。また、組織の中での人間関係の複雑さも、単なるロマンスだけに終わらせずに描かれており、大人が読む価値のある構成だと思います。 ただ、個人的には物語の中盤で若干のペース変動を感じた部分もあり、終始安定した加速度で物語が進んでほしかったという思いはあります。それでも全体としては、現代の大人たちの人生観や価値観を考えさせられる、充実した読書体験でした。仕事で疲れた週末に、こういう作品との出会いは貴重です。
戦闘機パイロットとテレビディレクターという、一見すると絶対に交わらないような二人が出会うところから始まるこの物語。タイトルだけで引き込まれて手に取ってみました。 読み始めると、エンジニアの仕事で日々ロジカルに物事を考えている脳が、ちょうどいい感じでほどけていくような感覚。パイロットのストイックさとディレクターの創造的な視点が衝突し、次第に引き合われていく過程が本当に丁寧に描かれています。二人の会話がテンポよく、くすくす笑ってしまう場面も多かった。 個人的には、職業の描写がリアルだなと感じました。自分も仕事の現場を知る人間なので、著者がこれらの世界をちゃんと調べて書いてるんだろうなというのが伝わってくる。それが物語全体の説得力になってますね。 恋愛小説としても、エンタテイメント作品としても、バランスよくまとまっていて、気軽に楽しめるけど読み応えもある。週末に一気読みする快感、って久しぶりに味わった気がします。
戦闘機パイロットとテレビディレクターという一見関わりのない二人が織りなす物語。最初は設定だけで敬遠しかけたのですが、他の読者の評価が高かったので思い切って手に取ってみました。正解でした。 著者は人物描写が本当に上手い。二人のキャラクターが生き生きとしていて、対立や共感が自然に流れてくる。特に仕事で追い詰められた時の心理描写に引き込まれました。私もフリーランスで様々な業種の人間関係を経験してきましたが、異なる世界に生きる者同士が理解し合おうとする過程がとてもリアルです。 ただし前半の展開がやや緩く感じる場面もあります。中盤以降、物語が加速して一気読みの魅力が生まれるので、気長に読み進める耐性は必要かもしれません。 でも全体として、この本は単なるエンタメ小説ではなく、仕事とは何か、人とのつながりとは何かを問い直させてくれる深さがあります。48歳にもなると、こういった大人の恋愛小説に改めて心が揺さぶられることに自分でも驚きました。是非多くの人に読んでもらいたい一冊です。