猿
KADOKAWA | 2025/12/22
みんなの感想
限界集落を舞台にした心理サスペンスということで、期待を持って手にしました。山中の閉ざされた環境と、同居人の妙な言動、そして曾祖母の遺産という複数の要素が絡み合い、読者に緊張感をもたらします。 ただ、率直に申し上げると、物語全体としてはやや散漫な印象を受けました。個々の不安要素は確かに不気味ですが、それらが有機的に結びつき、最終的な恐怖へと昇華する過程に、若干の説得力不足を感じます。管理職として、ロジカルに物事を捉えることに慣れているせいかもしれませんが、伏線の張り方と回収のバランスに、もう一工夫欲しかった。 ただし、恐怖の「本質」を探求しようとする著者の意図は伝わってきました。その点では、決して無駄ではない読書体験です。心理的な不安をしっかり描く力はある。もう少し構成が洗練されていれば、より深く引き込まれたであろう作品だと思います。
期待値が高すぎたのかもしれません。「怖さの本質を抉りだす」というキャッチコピーに惹かれて手に取った『猿』ですが、読み終わってみると、その期待と現実のギャップに少し落胆しました。 限界集落という舞台設定や、同居人の異変といった設定は興味深いのですが、展開が予想の範囲内に収まってしまった感じがします。もっと予測不可能な恐怖や、深い心理描写を期待していたのですが、むしろ説明的になってしまっている部分が多いように感じました。 新社会人として仕事で疲れているときに読もうと思い、適度な緊張感のある小説を探していたのですが、この作品は中途半端な不気味さが続くだけで、物語として昇華しきれていない印象を受けました。もう少し登場人物の背景が掘り下げられていれば、また違う印象だったかもしれません。 丁寧に構成された作品ではあるので、心理サスペンスが好きな方には響くかもしれませんが、個人的にはもう一押し何かが足りないように感じました。
話題になっていたので、思い切って手に取ってみました。限界集落を舞台にした不気味さを売りにしているということで、期待半分、不安半分といった感じでしたが、読み終わってみると…うーん、という感じです。 確かに、序盤の「猿がいる」というセリフから漂う違和感や、曾祖母の遺産相続という設定など、不安を煽る要素はちゃんと用意されています。山中の限界集落という舞台設定も、それなりに雰囲気を出していると思う。ただ、その不安感がどう膨らんでいくのか、どう恐ろしさへつながっていくのかという部分が、個人的にはもう一歩足りないように感じました。 新社会人になったばかりで、まだ読書経験も多くはないから、もしかして自分が読み損なっている部分があるのかもしれません。でも率直に言うと、怖さを期待して読むと少し物足りないかな、というのが正直な感想です。ただし、心理的な不気味さの描き方は嫌いじゃないので、この手の話が好きな人には合うのかもしれません。
最近SNSでも話題になっていたので手に取ってみた。正直なところ、こういった心理サスペンス系は得意じゃないんだが、この作品は引き込まれた。 限界集落という舞台設定がいい。山奥の人間関係の濃密さ、都会とは違う空気感が、物語の不気味さを増幅させている。同居人が「猿がいる」と言い張る、その言葉だけでこんなに緊張感が生まれるのか、と驚いた。論理的に考えれば説明できる現象が、積み重なっていくうちに、読み手の心も確実に揺らいでいく。著者の描写の巧みさだと思う。 曾祖母の遺産という家族関係の複雑さも絡まって、単なる怪談譚ではなく、人間の内面の怖さへと深掘りしていく構成は秀逸だ。仕事で疲れた頭でも一気読みできる面白さがあり、かつ読み終わった後には「あの場面、もう一度読み返したい」と思わせる仕掛けが随所にある。 41歳で今更こんなことを言うのも野暮だが、良い小説はやはり人間の本質を揺さぶる。次作も注視していきたい。
仕事が忙しい時期でも、通勤時間に気軽に読める本を探してて、この作品を手にしました。 最初は、「猿がいる」という同居人の発言から始まる、ちょっと不気味な話だなという印象だったんですが、読み進めるにつれて、その不安感がじわじわと積み重なっていく感覚がたまりません。岡山の限界集落という舞台設定も効いていて、日常と非日常の境界線があいまいになっていく雰囲気が上手く描かれている。 エンジニアの仕事をしてると、論理的に物事を考えることが習慣になってるんですが、この本は「これは本当に起こってるのか、それとも錯覚なのか」という、その曖昧性を突きつけてくる。それが怖い。説明されない違和感というか、心理的な恐怖感を引き出す書き方が秀逸だと思いました。 長編ですが、テンポよく読めるし、一気読みしてしまいました。怖さの本質ってなんだろう、と考えさせられるような作品。気軽に読みたい時向けというより、ちょっと気力を入れて読みたい時向けかもしれませんが、それだけの価値がある一冊です。