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がんーある「完全治癒」の記録

がんーある「完全治癒」の記録

アンソニー・J・サティラロ / 上野 圭一 日本教文社 1983年3月15日

感想

末期癌からの生還という劇的なテーマに惹かれて手に取った一冊だ。米国の大病院院長という社会的地位にある人物が、マクロビオティック食事療法で奇跡的な完全治癒を遂げたという触れ込みは、確かに興味をそそられる。 本書を読み進めると、闘病記としての切実さと精神的な葛藤が丁寧に描かれている点は評価できる。食物と癌、そして心身の関係について、著者自身の実体験を通じて考察しようとする姿勢は誠実だ。医学的な視点と人文的な視点の両立を試みた構成も、人文書として一定の価値がある。 ただし、評論家としての眼を持つと、やや物足りなさを感じずにはいられない。科学的根拠と個人的体験の区別が曖昧な部分があり、論旨の展開にもう少し厳密さがあれば、より説得力を持つ作品になったのではないか。また、医学的な検証についても、具体的な数値や臨床データの提示がもっとあれば、より客観的な評価ができたであろう。 感動的な闘病記として読む価値はあるが、自営業の経験から思う癌や健康についての深い思索までには至らなかった。参考になる部分もありながら、決定的な示唆には欠ける印象である。

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