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ぞくぞく村のおおかみ男

ぞくぞく村のおおかみ男

末吉 暁子 / 垂石 眞子 あかね書房 1993年1月1日

感想

ぞくぞく村シリーズは児童文学の傑作だと思っていたが、この一冊でそれが確信に変わった。 ちくちく先生という歯医者のキャラクターが満月の夜におおかみ男に変身するという古典的なモチーフを、著者はじつに巧みに料理している。ありがちなホラーの枠組みを借りながらも、時々ぶたになってしまうというユーモアの仕掛けが秀逸だ。一見くだらないギミックに見えるかもしれないが、これが物語全体を支える根幹的な謎として機能している。 自営業の身として感じるのは、日常の職業人としての顔と隠された別の側面との葛藤というテーマの深さである。表面的には子ども向けファンタジーだが、そこに人間の二重性を巧妙に織り込んでいる構成力は大したものだ。 確かに児童文学の枠を超えた芸術性があり、大人が読んでも十分に鑑賞に値する。著者の想像力と構成力の高さが随所に表れており、これが評判の高い理由がよく理解できる。気軽に読める外見とは裏腹に、きちんと仕込まれた物語の骨組みが魅力的な作品である。

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