penの本棚
感想

横溝正史ミステリ&ホラー大賞受賞作という触れ込みに惹かれて手に取りました。大正時代という時代背景と、廃墟と化した遊園地という舞台設定がなんとも興味深く、期待を込めて読み始めたのですが、その期待を十分に満たしてくれた作品です。 主人公の朔哉が抱える「見世物にされている」という違和感が、物語全体を貫く軸になっており、ここまで丁寧に心理描写されると、ホラー的な恐怖だけでなく、もっと深い部分での怖さを感じさせられます。復活したルナパークで起こる奇妙な出来事の数々は、単なるミステリではなく、登場人物たちの心の奥底に潜む悲哀へと繋がっていく構成が秀逸です。 ただ、中盤から終盤への展開がやや急足になるところや、いくつかの伏線の回収方法に「本当にそれでいいのか」と疑問に感じる部分がないわけではありません。それでも、完璧さよりも感情的な余韻を大切にする姿勢が好ましく感じられました。慎重に本を選ぶ方なら、ぜひ一読の価値ありです。

ブクログからブクマへ
かんたん引っ越し

読書記録や感想をそのまま移行。
数分の準備で、ブクログの本棚をブクマへ。

詳しく見る
ブクログからブクマへの引っ越しイメージ