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悼む人(上)

悼む人(上)

天童荒太 文藝春秋 2011年5月10日

感想

直木賞受賞作という肩書きに惹かれて、少し慎重に構えながら手に取った一冊です。正直なところ、ここまで心を揺さぶられるとは予想していませんでした。 「悼む」という行為をめぐって、赤の他人の死に向き合う男・坂築静人と、彼を追う記者・蒔野、そして静人の周辺にいる人々の人生が複雑に絡み合っていく。一見すると重くて難しそうなテーマなのに、吸い込まれるように読み進めてしまいます。 特に印象的だったのは、死と向き合う中での人間関係の機微です。末期がんの母、自分の罪を抱える女性——それぞれが異なる形で苦しみながらも、どう生きるかを問い続ける姿が丁寧に描かれています。39歳という年代で読むと、自分自身の人生についても自然と考えさせられてしまいました。 文章は緻密で、登場人物たちの内面が細かく掘り下げられていますが、決して読みにくくはありません。むしろ、その奥深さが物語の世界にぐっと引き込んでくれます。受賞作であることに納得です。人生について深く考えたいときに、ぜひ手に取ってほしい一冊。上巻が終わった時点で、すでに下巻が気になって仕方ありません。

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