莉子の本棚
精選日本随筆選集 歓喜

精選日本随筆選集 歓喜

宮崎 智之 筑摩書房 2026年2月12日

感想

装幀の美しさに惹かれて手に取った本でしたが、期待と現実のギャップに少々がっかりしてしまいました。 「歓喜」というテーマで、薄田泣菫から開高健まで、時代を代表する筆者たちの随筆が集められています。個々の作品の質は確かに高く、薄田泣菫の深い思考や向田邦子の温かい視点など、素晴らしい一編も含まれています。 ですが、全体として読み進めるうちに違和感を覚えました。「歓喜」という統一テーマにもかかわらず、各作品の「歓喜」の定義や表現が大きく異なるため、アンソロジーとしての一貫性に欠けているように感じます。編者の意図は理解できますが、ページをめくるたびに話題が散らばり、集中力を要します。 また、掲載作品の紹介文が簡潔すぎて、どの随筆がどのような「歓喜」を描いているのか事前に判断しにくいのも困りました。慎重に本を選ぶ私にとっては、もう少し丁寧な案内があれば助かったところです。 文庫本という手軽さは良いのですが、正直なところ、この編集方針なら単行本で著者ごとに深掘りする方が、より充実した読書体験ができたのではないかと思います。

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