莉子の本棚
感想

重い題材だからこそ、慎重に手に取るべき作品かもしれません。実際、評判を確認してから読み始めたのですが、それ正解でした。 湘南という明るい舞台設定で始まるこのお話は、家族を守りたいという純粋な思いが、どこまで正当性を持つのかという深刻なテーマに切り込んでいます。17歳という多感な時期に置かれた主人公・秀一の心の揺らぎが、丁寧に描き出されているのです。 法律や社会的ルールが機能しない状況で、人間はどう選択するのか。ボランティア活動を通じて様々な方々と関わってきた身として、この問いかけには考えさせられるものがありました。安易な答えではなく、読み手一人ひとりが向き合わなければならない問題として提示されている点が、この作品の力なのでしょう。 文庫本という手軽さの中に、こうした重厚さが詰まっているのは素晴らしい。ただし内容が内容だけに、気持ちの準備をして読むことをお勧めします。

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