近藤の本棚
砂漠

砂漠

伊坂 幸太郎 新潮社 2010年7月1日

大人になってから読む青春小説というのは、なぜこんなに染みるのだろう。 仕事の効率化や最新の技術ばかり追い求める日々を送っていると、この本に描かれる5人の学生たちの迷いや、過剰さを持て余しながらも何かを求める様子が、痛いほど懐かしく感じられました。 印象的だったのは、著者がボウリングや麻雀といった日常の場面を通じて、一見すると無意味に思える出来事が、実は深い絆を紡いでいく過程を丁寧に描いていることです。エンジニアとして問題解決に慣れた身からすると、この「意味を後から見出す」というアプローチが新鮮でした。 パンクロックのビートという表現が示唆する通り、全体を通じて躍動感と疾走感があります。青春特有の不安定さや不完全さを、むしろ肯定的に捉えようとする姿勢が心地よい。 慎重に本を選ぶ方ですが、この作品は確実に価値があります。20代の記憶を揺さぶりたい人、あるいは今の若者たちを理解したいと思っている大人に、特にお勧めしたい一冊です。