近藤の本棚
桐島、部活やめるってよ

桐島、部活やめるってよ

朝井 リョウ 集英社 2012年4月1日

感想

映画化されたときにちょっと話題になっていた作品だったので、この機会に読んでみました。 正直なところ、高校生の群像劇というと若干敬遠してしまう部分もあったのですが、読み始めると一気に引き込まれました。バレー部キャプテンの突然の退部という小さなきっかけが、それぞれの登場人物の人間関係や価値観にどのように波紋を広げていくのか—その連鎖の描き方が本当に丁寧で、緻密です。 エンジニアとして仕事をしていると、複雑なシステムの相互作用を追うことが多いのですが、この小説の構成はそれに近い面白さがあります。各章で異なる視点から同じ時間軸を描き直していく手法は、最初は戸惑うかもしれませんが、読み進むにつれてパズルが組み上がっていくような快感があります。 登場人物たちが必ずしも「いい子」ばかりではないというのも好感を持ちました。現実の人間関係はそんなものですから。短編のような各部分も独立した完成度があり、文庫本として手軽に読めるのも良いですね。少し古い作品ですが、青春小説の名作として十分な価値があると感じます。