砂漠

砂漠

伊坂 幸太郎

出版社:新潮社 出版年月日:2010/07/01

新潮社 | 2010/07/01

4.67
本棚登録:5人

みんなの感想

感想

懐かしさと新しさが同時に押し寄せてくる、そんな感覚で読み終わった。大学という限定的な時間軸の中で、5人の若者たちが織り成す人間関係の物語だ。 正直なところ、最初は少々とっつきにくさを感じた。設定を聞くだけではよくある青春小説に思える。ただ、読み進めるにつれて、著者がこれほどまで丁寧に人物を描き分けていることに気づかされた。ボウリング、麻雀といった日常の出来事から、通り魔との遭遇といった非日常まで、様々な経験が積み重ねられていく。それらが単なる挿話ではなく、各自の成長を促す必然として機能している。 パンクロックのビートという表現は大げさではない。テンポ感の良さと、青春特有の不器用さへの向き合い方が、この小説の生命線となっている。35にもなると、自分たちの若い頃を客観的に見つめることができるようになる。その距離感から改めて読むと、彼らの試行錯誤が一層愛おしく感じられた。完璧さを求めず、むしろ未熟さの中に輝きを見出す眼差しが素晴らしい。 迷いながらも前へ進もうとする姿勢。仕事の疲れの中で、そのメッセージが心に届いた。

感想

大人になってから読む青春小説というのは、なぜこんなに染みるのだろう。 仕事の効率化や最新の技術ばかり追い求める日々を送っていると、この本に描かれる5人の学生たちの迷いや、過剰さを持て余しながらも何かを求める様子が、痛いほど懐かしく感じられました。 印象的だったのは、著者がボウリングや麻雀といった日常の場面を通じて、一見すると無意味に思える出来事が、実は深い絆を紡いでいく過程を丁寧に描いていることです。エンジニアとして問題解決に慣れた身からすると、この「意味を後から見出す」というアプローチが新鮮でした。 パンクロックのビートという表現が示唆する通り、全体を通じて躍動感と疾走感があります。青春特有の不安定さや不完全さを、むしろ肯定的に捉えようとする姿勢が心地よい。 慎重に本を選ぶ方ですが、この作品は確実に価値があります。20代の記憶を揺さぶりたい人、あるいは今の若者たちを理解したいと思っている大人に、特にお勧めしたい一冊です。

感想

新社会人として働き始めた今、この本を読んで本当に良かったと思います。 大学時代の青春を描いた作品ということで、正直なところ「今さら青春小説?」という思いもありました。でも、読み始めてみると、その不安は完全に払拭されました。5人の登場人物たちが経験する様々な出来事を通じて、自分たちも何かを模索していた時代を思い出させてくれるんです。 特に印象的だったのは、登場人物たちの「未熟さに悩みながらも先へ進もうとする姿勢」です。現在進行形で同じような悩みを抱えている自分にとって、すごく響きました。パンクロックのビートというフレーズが示す通り、リズミカルで爽快感のある文章で、重くなりすぎないのも良い。 慎重に本を選ぶ方なので最初は迷いましたが、口コミで高く評価されていたので思い切って読んでみました。結果として、現在の人生段階で出会うべき一冊だったと感じています。青春小説というカテゴリーに収まらない、普遍的な価値を持った作品だと思います。

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