みかんの本棚
りゅうのたまご

りゅうのたまご

佐藤暁 偕成社 1981年8月1日

感想

新書のシリーズで高評価を得ている著者だったので期待して手に取ったのですが、正直なところ少し肩透かしを食らった感じです。 児童文学的な装いながら、大人が読む前提で書かれているのかもしれません。ただ、その中途半端さが作品全体に影響しているように思えます。龍の卵という設定は興味深いのですが、物語としての展開に深みが足りず、メッセージとしても既出の内容が多い。新書という短編形式を選んだ意図は理解できますが、逆にそれが内容の浅さを際立たせてしまっているのではないでしょうか。 文章の質感自体は悪くないのですが、何を読者に届けたいのか、その核がぼやけているように感じられました。著者の他作品では感じられる洞察の鋭さが、ここではやや希薄です。 新書という限定的なフォーマットの中での表現の試みは評価しますが、それなら尚更、内容のエッセンスを徹底的に磨く必要があったと思います。期待値が高かっただけに、より惜しさを感じてしまいました。

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