みかんの本棚
FREDERICK(H)

FREDERICK(H)

LEO LIONNI ALFRED KNOPF (USA) 1967年1月1日

感想

子どもの頃に読んだ思い出がある『フレデリック』を、大人になって改めて手に取ってみました。 ウィンターを前に食べ物を蓄える他のネズミたちとは異なり、詩を作ることに時間を費やすフレデリック。この構図自体は実に象徴的で、功利的な行動と芸術的な営みの価値について考えさせられます。フリーランスとして生きる私にとって、「何のために働くのか」という根本的な問いは常につきまとうもので、そういう意味では共感できる部分もあります。 ただし、正直なところ物語としての深さに物足りなさを感じました。メッセージ性は明確ですが、それゆえに登場人物たちの心理描写が表面的に映ります。大人の読者が読んでも、道徳的な寓話の枠を出ていない印象は否めません。もちろんこれは児童文学であり、美しいイラストレーションも魅力的ですが、大人向けの読み物として評価すると、やや一面的かもしれません。 世代を超えて愛される作品であることは理解できます。ただ私個人としては、もう一段階の複雑さや余韻があれば、より心に残る作品になったのではないかと思います。

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