みかんの本棚
文庫版 死ねばいいのに

文庫版 死ねばいいのに

京極夏彦 / 京極 夏彦 講談社 2012年11月1日

感想

京極夏彦の『死ねばいいのに』を読み終わった。予定調和を破壊するミステリとしての評判は耳にしていたが、実際のところ、正直なところ微妙な印象が残った。 作品の基本構造は興味深い。殺人事件を軸に、登場人物たちの証言が交錯し、嘘が重なっていく過程で真実が浮かび上がるという仕掛け。従来のミステリの枠を外そうとする意志は感じられる。ただし、その実験的な手法が必ずしも効果的に機能しているかというと、読んでいて引っかかる部分が多かった。 交わらない会話という表現は的確だが、その「交わらなさ」が時として冗長に感じられてしまう。謎解きの快感よりも、もどかしさが勝ってしまう局面もある。 とはいえ、人間の心の暗部を掘り下げようとする執念は買える。表面的な推理サスペンスではなく、心理の深層へと切り込もうとするその姿勢は、自分が求めている読書体験に近い。ただ、それが完全に成功しているかどうかはまた別の問題だ。 ベストセラーが必ずしも最高傑作ではないことを改めて認識させてくれた一冊。それも含めて、読む価値のある作品ではあります。

ブクログからブクマへ
かんたん引っ越し

読書記録や感想をそのまま移行。
数分の準備で、ブクログの本棚をブクマへ。

詳しく見る
ブクログからブクマへの引っ越しイメージ