そうたの本棚
感想

警察小説新人賞受賞作ということで、期待値が高めで手に取った一冊。結論から言うと、その期待をしっかり上回ってくれました。 熊本県警の監察課という、映画やドラマではあまり主役にならない部署を舞台にしたのが新鮮。主人公・阿玉が、職場の不祥事調査と息子の問題という二つの圧力に挟まれながら揺れ動く様子が、リアルで息苦しくて引き込まれます。選考委員のコメント通り、文章力とスピード感は本当にいい。難しいテーマなのに、ぐいぐい読ませてくれる。 仕事と家庭のバランスの取り方、警察という組織の内部矛盾、失声症を抱える息子との関係性——複数のテーマが層状に組み重なっているのに、きちんと整理されて読みやすい。エンジニアの立場からすると、複雑なシステムを論理的に構築する手腕が見事だなと感じました。 後半の展開は予想の斜め上を行く場面もあって、大人が気軽に読む小説として質が高い。今後の著者の活動が気になる作品です。

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