ペンネームの本棚
感想

妻が消えるという衝撃的な冒頭から一気に引き込まれました。刑事である主人公とその妻という、一見対立する二つの立場から物語が同時に展開していくんですが、この構成がとにかく秀逸。夫は捜査する側、妻は捕らえられた側という絶望的な状況を、両方の視点で味わうことになるんです。 何気ない日常を送っていたはずなのに、いきなり人生が急変するその瞬間。それぞれがどう考え、どう行動するのか。刑事としてのプロの顔と、夫としての素の顔が揺らぐ様子が丁寧に描かれていて、読んでいて本当に胸が苦しくなります。 警察小説として事件の謎解きの面白さもしっかりありながら、人間ドラマとしての深さもある。家事の合間に読むには正直熱中してしまい、気づくと何時間も経ってた、なんて具合です。 結末の運び方もすごく自然で、納得できるし、同時に考えさせられる部分がある。お手軽に読める文庫サイズですが、むしろ腰を据えて読む価値のある作品だと思いますね。

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